眠れる獅子

 明日から3週間ぶりのF1、スペインGPがカタロニア・サーキットで行われます。
 今期絶好調のメルセデスAMGはカタロニアでも強さを見せつけるでしょうが、問題は他チーム。前年度まで絶対王者として君臨したレッドブル・レーシングと、ここ数年の低迷が激しいフェラーリ、それから、前年度の終盤ではレッドブルに唯一対抗できるチームとまで言われながら今期は地を這い続けているロータス、この辺りが上昇してくるかどうかに注目したいところ。
 特にレッドブルのエース、セバスチャン・ベッテルは、他チームどころか同僚リチャルドに辛酸を嘗めさせ続けられていますから、そろそろ今期のマシンに対応していかないと、口さがない世間の、さらなる口撃を招くことになりかねません。


鈴鹿ヘアピンを抜けるセバスチャン・ベッテル(2013)
K-r + smc DA 55-300mm F4-5.8ED


 もちろんそこは本人もチームもわかっているようで、カタロニアからベッテルは新シャシーでドライブするようです。

「ベッテルのマシンに「ひび」を疑うレッドブル」
http://www.topnews.jp/2014/04/27/news/f1/106901.html

 まぁ、今期のベッテルの苦戦はひびではなく、多くの人が指摘するように、ブロウンディフューザーを利用したマシンへ特化されていたドライビングスタイルにこそ原因があると考えられるため、シャシーを変えたところでどうこうなるとは思えませんが……。

「「単にリカルドのほうがベッテルよりうまくやっているだけ」とラウダ」
http://www.topnews.jp/2014/05/08/news/f1/teams/redbull/107279.html

「ベッテルのシャシー交換の効果はほとんどないだろうとレッドブル」
http://www.topnews.jp/2014/05/08/news/f1/teams/redbull/107277.html

 とはいえ、気分を変えるという意味では効果があるかもしれません。限界点で争うトップアスリートのパフォーマンスというのは、精神状態によって大きく左右されるもののようですし、シャシーを変えたことを機に、今期マシンへの対応が進むこともあるでしょうし。
 きっかけがどうであれ、結果がそこに表れればオーライ。そしてベッテルなら、ほんの小さなきっかけを掴んで、大きく飛躍することは決して不可能ではないでしょう。そうでなければ、いかに速いマシンを手にしたとして、同じマシンをドライブするチームメイトに打ち勝ちながら、何年も連続でドライバーズタイトルを獲得することなど出来ません。

 何より、彼は勝利に貪欲ですから。レッドブルにおける無敵の日々が多少それを鈍らせていたとしても、すぐにかつてのハングリーさを取り戻し、ありとあらゆることを試して速くなっていく自分に戻るでしょう。
 忘れもしない、2010年のバーレーン。エンジントラブルで徐々に失速していく中、ドライバーにはどうしようもできないメカニカルな問題に対し、「何かできることはないのか!?」と叫んだかつての新鋭。その年から四年連続でF1を制した、若き王者の気迫。
 あのスピリットが、わずか数年でなくなるはずがない。明日からのスペインか、あるいはもう少し先になるのかはわかりませんが、眠れる獅子だっていつまでも寝ているわけではないでしょうから。

2014年5月8日

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