鈴鹿でSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使ってみる

 昨年末に主力機をPENTAX K-5IIsからCanon EOS 70Dに乗り換えたわけですが、その際に資金的な問題で揃えていなかった焦点域が、換算450mm超の超望遠域。APS-Cで250mmまでの望遠しか買っていなくて、普段使いではともかく、そもそもの主眼用途となる鈴鹿サーキットでは長さがかなり足りない。

200mm・ ISO100・F16・1/125
角度調整済み

250mm・ISO125・F5.6・1/640
トリミング済み

 いちおう、ヘアピンに張り付いてれば上の写真程度までは寄れるものの、一日中ここにいて同じ構図でばかり撮ってるわけにもいかないですしね。資金が貯まればK-5IIsの時に使っていた400mm(換算600mm)超の望遠を買う予定でいました。ちなみにPENTAX時代に使っていたレンズはSIGMA APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSMです。付き合いは短かったものの、写りの良いレンズで重宝したものです。

 で、先月の鈴鹿2&4の開催に合わせて購入したのが、前と同じくSIGMA社製の150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary。CanonのAPS-Cは他社よりセンサーサイズが少し小さいため、換算では1.6倍になる960mmの超望遠(他社だと1.5倍の900mmですね)。これだけあれば、かなり遠いところからでもマシンを寄せられるため、撮影の場所が広がるぞと期待して買いました。
 出たばかりのレンズでレビューがほとんどなかったため、購入には若干のギャンブル要素もありましたが、使ってみたところ、期待以上のレンズでたいへん満足です。今回は鈴鹿2&4で撮影してきたものを何枚か作例としてアップしてみます。




 なお、今回の撮影ではレンズに対するピントの微調整を全くしていません。買ったそのまま。なので、解像についてはレンズ本来の実力ではないかもしれません。
 あと文中で撮って出しと書いていますが、ブログにアップする際に長編が2048pxにリサイズされているので、実際にはリサイズ後の画像になります。色味やシャープネス等が未調整、というふうに読み替えてください。

 それと、撮影場所の大まかな位置は鈴鹿サーキット公式サイトのマップで参照してください。

 鈴鹿サーキットコースガイド

 さて、最初の一枚は第2コーナーを抜けてS字に入るところ。マシンは手前がPETRONAS TEAM TOM’S 中嶋一貴選手、奥はKONDO RACING ジェームス・ロシター選手です。

600mm・ISO200・F7.1・1/1000
角度調整済み

 撮影場所はC席の中央の下段あたりで、金網が一番低くなっているところから金網の上越しに撮っています。F1のシートでいうと、C-2席の下の方になります。こちらの動画の下に降りたあたりですね。ここからテレ端で撮っています。

 次は同じ場所からほぼ真横に来ているマシンを撮影したもの。P.MU/CERUMO·INGINGの国本雄資選手です。

403mm・ISO100・F10・1/250

 これはテレ端ではなく400mmの撮って出しです。ちょっと下に寄りすぎたような気がするので、トリミング&角度調整してみます。



 こんな感じになりました。この程度なら全く問題ないトリミング耐性。

 せっかくなのでさらにトリミング。



 さすがに眠いですが、レンズの解像というより流し撮り時のブレの影響でしょうか。上手い人ならもっとバッチリ解像すると思われます。あるいは測距の問題かも? それにこの写真を撮影したのは初日の午前なので、まだレンズに慣れてない頃ですしね。……というような言い訳は常に用意してあります(笑
 このレンズは兄弟機の150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsに比べれば軽いとはいえ、それでも600mmズームなのでズッシリ感はかなりあります。短時間なら手持ちでもいいですが、サーキットで一日中撮影するなら一脚がないとプルプルしちゃいます。

 場所を移動してヘアピンです。ヘアピンでは観客席の下方にカメラマンエリアがあって、マシンにぐっと近づけるのがありがたい場所。視点の高さもドライバーの高さと同じくらいになるので、毎回ここに多くのカメラマンが集まります。特にコーナーに近い側はいつも争奪戦ですね。今回はヘアピンでもわざとコーナー出口から比較的遠いところで撮っています。
 写真はP.MU/CERUMO·INGINGの石浦宏明選手。テレ端の撮って出しJPEGです。

600mm・ISO320・F7.1・1/1000

 次の画像はヘアピンの別の場所から。こちらも撮って出しJPEG。

600mm・ISO125・F7.1・1/1000

 ここはさっきのカメラマンエリアではなく、観客席横の土手の上からです。ガードレールのさらに外側から。マシンはDRAGO CORSEの小暮卓史選手。600mmテレ端だと土手の上からでもこのくらいまで寄れます。


 せっかく2&4なので二輪の写真も。テレ端の撮って出し。TeamGREEN 渡辺一樹選手で、マシンはKAWASAKI ZX-10R。二輪は詳しくないですが、緑一色だとカワサキのマシンだとすぐにわかって良いですね。

600mm・ISO320・F6.3・1/800

 なんか余白が多いのでトリミングして、ついでにLightroomで調整。デジタルは後から調整できるので良いですね。



 テレ側ばかりではアレなので、ワイド端の写真も一枚。エスパルス・MFDレーシングの生形秀之選手で、マシンはSUZUKI GSX-R1000。撮って出しJPEGで。

150mm・ISO100・F7.1・1/320

 ワイド端といっても150mm(換算240mm)もあるので、ヘアピンのカメラマンエリアだとこれ以上は広角にできません。この場所でもっと広角に撮りたいんだ!という場合は、レンズ交換するか別の機材セットを用意するかしかないです。

 さらに場所を移動して、今度は1-2コーナーの、B席スタンド下です。ここは今回初めて訪れた撮影ポイントです。F1でいえばB1席になり、特にB2スタンド直下の通路からの撮影です。
 B1席は金網が真正面にあって撮影には不向きですが、このポイントだけはコース上への重機の出し入れを行うために金網が途切れており、ここから第1コーナーを駆け抜けるマシンが撮影できます。ただしコースまで距離があるので、超望遠が必須。ここでこそ600mmを買った恩恵があるというもの。
 ちなみにこの場所の何が良いって、雨に濡れないことです。今回の鈴鹿2&4は決勝日の午前中は雨模様だったのですが、雨対策なにもなしで気軽に撮影できましたから。兄弟機のSportsなら防塵防滴ですが、Contemporaryは違うので、雨は大敵です。

 で、こちらがB席スタンド下からの一枚。テレ端の撮って出し。TEAM無限の山本尚貴選手。無限マシンのカラーリングが一番かっこいいと思います。

600mm・ISO100・F8・1/200

 この場所でノートリミングでマシンを画面全体に置けるのですから、さすが換算960mmです。

 もう一枚、再びP.MU/CERUMO·INGINGの国本雄資選手。

600mm・ISO100・F7.1・1/200

 構図はちょっと下に寄りすぎですが、ピントはなかなかなので、この写真の美羽ちゃんを等倍にトリミングしてみます。



 うーん、やっぱりちょっと甘いかも? でもまぁ、無調整で鈴鹿1コーナーの1/200の流し撮りでこのくらい解像してれば、自分のレベルでは満足です。上でアップした美羽ちゃんに比べればずっと良い。2日目午前中の写真なので、レンズに慣れてきた頃の写真だし。
  せっかくなのでLightroomで調整したものを一枚。美羽ちゃんをセンターに据える。



 これならかっこいいし可愛い……よね?

 最後は思いっきりレタッチしたものを一枚。ウェットコンディションのレースはウォータースクリーン、つまり水飛沫がサーキットの 華です。マシンはPETRONAS TEAM TOM’S アンドレ・ロッテラー選手。

600mm・ISO100・F14・1/100
トリミング済み

 以下はAFに関する話を少しだけ。
 今回の撮影ではピント調整は前述の通り全くしていませんが、USB DOCKは購入していて、これでカスタムモードに対するAFの動作設定だけはしています。

 設定したのは次の項目。
 ・オートフォーカスの速度調整
 ・手ブレ補正のパターン

 カスタムスイッチで2パターン設定できるので、C1では上から速度優先・ダイナミックビュー、C2では上から品位優先・モデレートビューを設定。フォーカスリミッターの設定は少し迷いましたが、今回は未設定にしました。

 これらの設定を変えながらの撮影でしたが、やはり設定するとそれぞれで動作が違います。AF速度についてはいちおう未設定でも最初からそこそこ速いですが、速度優先にするとさらにスッスッと合うようになります。ただし、さすが速度優先だけあってピントは甘いです。テレ端でかなり遠方のものを撮影した場合、空気の揺らぎ以上にピントが合っていない写真が出来上がります。これを品位優先にすると、見違えるほどピントが合うようになります。たしかに速度は落ちるので動体には不向きになりますが、静物撮りでは品位優先一択。
 とはいえ速度優先でも今回アップした写真程度の距離なら、気になる程の甘さはないです。どこまで許容するかにもよりますが、私の用途では速度優先か、そうでなくても標準設定で問題ありません。

 手振れ補正の設定については、ダイナミックビューだと相当手ぶれしててもバッチリ止まります。モデレートだとそれなりにゆらゆらします。流し撮りをする場合はダイナミックがいいのかモデレートがいいのか判断しかねますが、モード2(流し撮りモード)でダイナミックビューという組み合わせがベターなのでしょうか。ただ速度優先+モデレートという組み合わせを今回試していないので、なんとも言えません。
 そもそも、しっかりレンズを支えてちゃんと流さないと600mm域では盛大に揺れてレンズのブレ許容量を軽く超えてしまうため、頼っての撮影というより万が一のための保険という程度の意味合いが強いです(ワイド側ならかなり頼れます)。まぁ流し撮りなんだから当たり前と言えば当たり前ですけどね。もともとK-5IIsの頃は手振れ補正を切って撮影していてそれに慣れているため、個人的にはテレ側での流し撮り時は手振れ補正オフでもまぁ別に……。

 USB DOCKではこういった調整以外にもピントの微調整もできますし、詰めれば応えてくれるレンズと言えます。AFにしろ手振れ補正にしろ、設定で効き具合はまるで違うので、いろいろ試してみるのが一番ですかね。USB DOCK自体そんなに値が張るものではないので、このレンズを購入する際は一緒に用意するのが良いと思います。
 ただ未設定でもかなり使える事は確かですよ。最初は未設定で撮ってみて、後で足りないところを補うようにカスタムモードの設定をする……というのが正しい使い方でしょうか。

 とりあえずこれで昨年末に乗り換えたCanonでの機材が揃いました。鈴鹿ファン感謝デーではEF-S 55-250mm F4-5.6 IS STMしかなくて、これがけっこう期待はずれだったんですよね……。「動体のCanonといってもこの程度か」とがっかりしていたため、今回の SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryで、ようやく期待していたレベルになりました。ボディの差より、やはりレンズの差の方が大きい。
 ……あれっ、でもそれなら、似たようなレンズがPENTAX Kマウントで出てたら、乗り換えなくても良かったのでは……!?
 いやいや、無い物ねだりしても仕方ない。このレンズは少なくとも現在はCanon EFマウントとNikon Fマウントにしかないんだから! ……と、PENTAX純正HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AWが予想外に早く出たことについての、いろいろ複雑な思いを押し殺してみる。
 いいもん、こっちは600mmもあるし!あるし! ……でもいちばんよく使う焦点距離が400〜500mmなのはナイショだ。

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