にわか叩くな、いつか来た道ぞ

 サッカーW杯で世間はもちきりで、それにのって何となく日本戦を見たりしちゃってるにわか視聴者です、すみません。ファンというにはおこがましいので、視聴者。にわか視聴者です。
 で、たいがいこういう時に玄人さんがいうのは「にわかファンばっかりで困る」みたいなことです。「サッカーそのものは好きじゃないんだろ」とか、「ちゃんと試合内容も見ろよ」とか、そんな感じの。今日も渋谷のスクランブル交差点で、日本が負けたにも関わらずお祭り騒ぎになってたとかなってないとか、おっぱいを触ったとか触ってないとか、そんな話も出てまして、やっぱり「そんな奴らはファンじゃない!」というようなのがコメントされてたりとかツイートされてたりとか、よく見かけたもんです。

 でもね、にわかファンは大事にしなきゃいけませんよと言いたい。いや、おっぱい触る痴漢を認めろって話じゃなくてね。そりゃー私も触れるもんなら触りたいけど、そういう話じゃなくてね。
 にわかファンがいる内が華なんですよ。これがいなくなったら一気呵成に人気は下降します。にわかファンがいなくなって地上波放送まで打ち切られたF1ファンの私がいうんだから間違いない。にわかは大事に。ここ重要。

 テレビ局とか広告代理店はにわかファンを狙って宣伝を打ってきます。これが多ければ多いほど、そのコンテンツのメディアの露出は多くなる。間違っても、スタジアムに足繁く通う良心的なファンや、ウェブで戦術についての批評を繰り広げるマニア相手ではない。
 にわかがガクンと減って、スタジアムとウェブ上でしかファンの存在が確認できなくなれば、普段はW杯でなくとも放送される日本代表戦だって放送されなくなるでしょう。
 それが証拠に、同じ四年に一度の開催でしかないオリンピックの競技のうち、いくつが普段から放送してますか? 軽薄なファンがいない競技というのはそんなものです。
 あるいは、W杯が大々的に放送されていた裏で、世界三大レースの一つであるル・マン24時間耐久レースが開催されていたことを、日本人の何%が知っていたでしょうか。このイベントはCS放送のJ SPORTSでスタートとラストの各6~7時間を放送してましたが、地上波では放送されてません。モータースポーツファンにとっては垂涎のコンテンツでさえ、地上波のメディアからそっぽを向かれればこんなもんです。

 「継続して現れるにわかファン」がコンテンツには重要で、いかにこれを生み出し続けるかが、コンテンツの寿命に関わります。中途半端な玄人はにわかファンを大いに嫌う傾向にありますが、にわかを排除して良い事などひとつもないと言い切って良い。
 そもそも、ファンの入り口はいつだってにわかなわけで、今マニアと呼ばれる層ですら、最初は例外なくにわかだったはずです。いきなり中級レベルのファンが出来るわけはなく、「なんとなく面白そう」とか、「テレビつけたらやってた」とか、「友達が観てたから」とか、そういうとこから入るしかない。観たこともないのに「フォース・インディアのタイヤ戦略の妙味に心を惹かれたので」とか言い出す人間がいたら不気味きわまりないです。

 最初はみんな初心者。にわか。その中の数%がより深いファンになってくれれば御の字。そうして継続していけば良い。モータースポーツでいえば、スーパーGTの初音ミクやイカ娘なんかは、よく旧来のファンから「二次元萌えなんてモータースポーツの恥だ!」なんて叩かれたものですが、そこから興味を持って継続視聴するようになった人もいるでしょう。実際、グッドスマイルレーシング初音ミクは、今やトップクラスのチームとしてスーパーGTを戦っていますし、サーキットに行けばGSRのファンが他を圧倒していることに気づくはず。twitterでアニメアイコンの人たちが、いっぱしの玄人ぶって戦略を語っている様は、初音ミクの成果の一つかもしれません。

インギング山口美羽。スーパーフォーミュラの萌えキャラとして孤軍奮闘中。
PENTAX K-r + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 II DC HSM

 渋谷のお祭り騒ぎも、そりゃあ痴漢はよくありませんが、騒いでいること自体は大目に見てあげたら?と思います。その内の何人かは、未来の「本当のファン」になるかもしれないんだから。


2014年6月16日

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