峠に響く声は ~開田高原道中記 その2~


第二回は野麦峠のレポートです。



しかし! ここで重大な事実をおはなししましょう。



実は…



写真が一枚もなーい!



実は、野麦峠に入ってから気づいたのですが、デジカメの電池がなくなってたんですねー。で、野麦街道のドライブインでは、これが口裏を合わせたかのように、どこも電池をおいていない。写ルンですはあるんだけどな。…ちなみに関係ないですが、ウチのこのみんMacBookさんのATOKは「写ルンです」を一発変換しやがります…。

まあそんなわけで、本日は文章のみになります。少し味気ないですが、おつきあいを。



高根第一ダムから引き返して野麦街道に入ると、さすが峠道。くねくねと曲がりくねって、広くなったり細くなったり。寺坂峠にさしかかるあたりになれば、さしずめプチ頭文字D気分です。ちょうど道はガラガラで対向車もなく、思う存分インプレッサ君のポテンシャルを楽しめました。そしてまた景色が良いんだ。ちょうど開けたところに車を止めれば、山々が重なり合ってどこまでも続いていく景色。所々にうっすらと雪化粧を残しながら、幾重にも続いていく日本アルプスの懐は、そりゃもう…。あーあ、電池くらいストックしておけば良かったな。



そんな自然の中、九十九折りに続いていく峠道をとばしていくと、やがて熊野神社を過ぎ、戸蔵谷を越え、かの「女工哀史」で有名な野麦峠にたどり着きます。

その野麦峠の資料館…日本唯一の峠の資料館でもある「野麦峠の館」に車を止め、ここでいったん休憩。階段を上がった先のおそば屋さんでちょっと早めの昼食です(このとき11時)。

さて、食堂の席について注文したのは、このあたりの名産品でもあるお蕎麦…ざる蕎麦と、それから、これまた名物というふれこみの、ヒエ飯を。あ、冷や飯じゃないですよ、稗飯ね。

味は、まあ、可もなく不可もなく。稗飯は稗そのものというより、白飯に稗を混ぜ込んだだけで、あんまりそれっぽくなかったのがちょっと残念かなー…。まあ、ドライブインにそこまで求めてもしゃーないですが。

ちなみに、ここのドライブインの表にですね、とても大きな雪の固まりがまだ残っていて、その固まりから水路のなかにぽたぽたと水がしたたり落ちてるんですよ。文字通り雪解け水の恵み。滅多に雪の降らない地域に住んでる物だから、こんなところでもちょっとした感動。



さて、ご飯を食べた後は、野麦峠の館で、女工哀史あるいはこの地方の風俗などの資料を見学。女工哀史については、ワイドスクリーンでの資料映像の上映もやっていて、ちょうど最初から観ることが出来ました。映画「ああ野麦峠」の映像をちらほらと交えつつ語られる野麦峠の歴史は、たかだか100年以内の近代史にもかかわらず、ほとんど信じられないようなエピソードのオンパレード。さすが、近代化の暗部と言われるだけのことはあります。

今は道路も舗装され、車で簡単に行き来できるのどかな峠道。それが、わずか80年ちょっと前には死と隣り合わせの過酷な道のりであり、冬の吹雪の中、雪に埋もれた峠の中を、たくさんの女性たちが足元の保証もなく歩いていたなんて、ね…。

先ほど食堂で、稗飯とざるそばにさして感謝の気持ちも持たずに、漠然とすすっていただけの自分が、少し恥ずかしい。ひとつひとつの物事の裏には、誰かの、あるいは何かの、見えざる力が存在しているのだと言うことを、いつの間にか忘れていたようです。慎まなければ。



資料館の表にある政井みね像の台座に刻まれた一文「ああ、飛騨が見える」。この一文の持つ意味は大きい。

…見えるよ…。今は、何の憂いもなく、美しい景色をただ美しいと思い、ここから見渡せる。それがどれだけ大切なことか。



それは、先人の残した遺産。正の面も、負の面もすべてひっくるめた、先人たちが築いた遺産。これこそ、教科書では習わない、日本の歴史そのもの。

来館者の中年の女性がぽつりと漏らした一言、「今の時代に生まれて良かったね」と言う言葉が、様々な意味で印象的な資料館のひとときでした。



なお、女工哀史および政井みねの話については、こちらのサイトに詳しいので参考までに。



恵比寿の郷

http://www6.plala.or.jp/ebisunosato/nomugi.htm(女工哀史 ああ野麦峠)

http://www6.plala.or.jp/ebisunosato/nomugi2.htm(野麦峠をよく知ろう)

http://www6.plala.or.jp/ebisunosato/hyousi.htm(トップページ)



少ししんみりしてしまいました。次回は気分を変えて、ワインディングロードのドライブの楽しみ、そして、上高地乗鞍林道の様子です。



2007年5月11日




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