異議あり!

日曜だというのに諸事情から仕事に行く羽目に。諸事情からと書くと何となく「なにかあったのか?」と思われそうですが、実はこのスケジュールは白詰草自身が立てたものであり、その理由もたいしたもんじゃありません。日曜じゃないと不都合だったからというだけで。明日代休とるし。職場にとってはむしろ迷惑だったでしょうね。



で、帰りに書店に立ち寄って、左の画像にあがっているムックを買ってきました。「逆転裁判ファンブック なるほど逆転裁判!」(SoftBank Creative)。

ゲームボーイアドバンスとニンテンドーDSで人気を博している、CAPCOMの人気ゲーム「逆転裁判」シリーズのファンブックですね。内容は、以前に「ドリマガ(現ゲーマガ)」(SoftBank Creative)で展開されていた同名のコラムと、公式サイトで展開されていたWebコラムの再掲載。それと、同シリーズゲームのちょっとした紹介ですね。かなりコアな話ばかりなので、知らない人はまったく楽しめません。さすがファンブックです。



さて、ファンブックは底辺拡大につながらないようですから、このあたりで、同作のことを少しだけご紹介。

「逆転裁判」シリーズは、1~3までがゲームボーイアドバンスで、そして、1のリメイク+ニューエピソード追加版「蘇る逆転」と、キャラクターを一新した続編の4以降がニンテンドーDSでリリースされる、推理アドベンチャーゲームです。ビデオゲームの世界では珍しい、リーガルサスペンスを機軸としたミステリーで、メインである法廷パートでは、やたら威勢の良い弁護士さんや検事さんが「異議あり!」「待った!」と、何かの義務ででもあるかのように連呼します。現実の法廷ではそのような展開は普通ありませんが、そこはゲームならでは。あやしげな証人の語る話の矛盾を「異議あり!」と打ち破る爽快感は特筆モノです。



さて、そういったゲームデザインの話はともかく、「ミステリーとして見た時どうなのよ」と思われるでしょうが、それについては、筋金入りのミステリーマニアである白詰草が確約しましょう。「スゲー面白い」です。

基本が「証言の矛盾」「証拠物品の解釈」に重点のおかれたミステリーなので、先鋭的なミステリーマニアからすれば、多少古い体系を用いた構造ではありますが、そのあたりは、探偵パートでの、あたかもホームズやコロンボにでもなったかのような「現場捜索の醍醐味」や、キャラクターたちの丁々発止のやり取り、また、2以降採用された「サイコ・ロック」システムの緊張感と意外性や、「蘇る逆転」で採用された「カガク捜査」のゲーム性などがたいへんよくマッチしており、ミステリーとしてみた場合でも古さは感じさせません。むしろ、特異なアクロバットを用いない分(※)、プレイヤーは文字通り「探偵になる楽しみ」を思う存分味わえます。ストーリーの核をなす「事件」も、手ごわい中にもきちんと手がかりやヒントが提示されていて、フェアプレイ精神から微塵も外れません。

また、難しい謎の展開や人間心理の裏を突く類の物語は、どうしても話が重厚になる傾向がありますが、この辺りはシナリオライターの巧舟の手腕が実に巧みで、次々と繰り出されるユーモアやスラップスティックのエピソードが、プレイヤー側に余計なプレッシャーを与えることなく、スラスラと面白おかしくゲームを進めさせてくれます。

このように、「逆転裁判」は、まごうかたなき本格ミステリーでありながら、とっつきにくさを極力廃した作りになっていて、それこそミステリー初心者からコアなマニアまで誰でも楽しめる作りになっています。

もしここを読んでいる方で、まだ未プレイの方がいましたら、ご一考のほどを。期待は裏切らないっスよ。

ちなみに、「逆転裁判」の体験版(Flash)が公式サイトで遊べます。ピンと来ない方は、そちらで遊んでみてはいかがですか。1の第1話がまるごと遊べて、かなり太っ腹ですよ。



※:ヒロインである綾里真宵ちゃんの設定上、フィクションでしかありえない事件やエピソードが出てきますが、このあたりは、新本格以降の活字推理小説でもたびたび出てくるものですので、特にアクロバティックなものではありません。



2006年6月7日




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