人生最悪の激痛(中編)
2つめの病院へと向かうタクシーの中、車体が揺れるたびにうめき声を漏らす私。看護士さん2人を脇侍にうんうん唸っている様はさぞかし奇異に見えたことだろう。目的地が先ほどの病院から5分とかからない場所にあったのは不幸中の幸いか。…が、いきなり道を間違えて無駄な遠回りをする運転手。イジメですか、そうなんですか。
本来の距離の2倍くらいを走行した後、とにもかくにも総合病院に到着する。そのままロビーのベンチに倒れて受付待ち。どうやら緊急度は低いとみなされているらしい。その上、保険証を携帯してないということで、必要書類に住所氏名年齢職業電話番号勤め先情報の記入を求められる。イジメですか、そうなんですか。気力を振り絞って、ほとんど走り書きで必須項目に記入する私。まるで怒りに任せて書いたかのような文字が書きあがるが仕方ない。こっちも必死なのだ。
その後は意外とすぐに診察室に通され、若い先生に問診を受ける。
「痛いですか」
「痛いです」
見てわかりませんか、そうですか。さらに、さっきもやった尿検査を再度やってくれとのこと。そう頻繁に出ないよ…。まぁ、無理やり出したけども。診察を受けるのも楽じゃない。
さらに、さっきも撮ったレントゲンをまたしても撮影することに。どうやら、前の病院からの紹介状にレントゲン写真が添付されてなかったらしい。しかも、X 線検査室が別階にあるため、エレベータでの移動を強いられる。イジメですか、そうなんですか。もうそろそろ勘弁してもらえませんかね。
「息を吸ってください」
「すぅー」
「吐いてください」
「はぁー」
「止めてください」
「……」
「痛いですか」
「痛いです」
聞くな、頼む。
しかし、レントゲンを終える頃になると、ようやく前の病院で入れてもらった座薬が効いてきたのか、一人で歩けるくらいには回復。まだじくじくと痛みはあるが、少なくとも朝の段階の痛みくらいまでには治まってきた。医師の先生との会話も、先ほどまではとにかく痛いばかりでロクな返答もできなかったのが、やっと冷静に受け答えできるようになり、通常の会話が成立するように。健康ってすばらしい。いや、まだ治ってないんだが。
診察室に戻って2~3の問診のあと、レントゲンには写っていないが、症状から推して尿管結石の疑いが強いとの宣告。しかし、今日はもう夕方なので精密な検査をできる医師がおらず、確定できるのは明日以降になるということも、あわせて伝えられる。
「薬を出して、明日また来院してください」
「まだそうとう痛いんですけど、帰らなきゃダメですか」
「入院もできますが、どうしますか」
「不安なので明日まで入院させてください」
ていうか、『疑いがある』というだけで確証がないのに、いきなり帰らせようとしないでほしい。イジメですか、そうなんですか。
こうして、小学5年生時以来、実に17年ぶりの入院となった。しかし、ここから更なる苦痛の時間が待っていようとは、まだこの時は想像もしていなかった…。
後編へ続く
2006年10月19日
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