予想通りと予想外と 〜2015F1開幕戦オーストラリアGP決勝〜

 昨日の予想通り、開幕戦決勝の順位はルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグ、セバスチャン・ベッテルの表彰台でした。ここまでは充分に想定の範囲内。
 ベッテルの表情が良かったです。メルセデスにはまぁちょっと追いつけないとはいえ、おととしまでの風格がちょっと戻ってきた感じですね。がんばれ、フォータイムス・チャンピオン。

今年もこの二人がトップ独走の気配
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 しかし想定の範囲外のことが多く起こったのもまた事実。ひとつには、ダニール・クビアトの欠場。たしかにレッドブルは先行き不安でしたが、まさか開幕戦に二台並べることができないとは……。同じく一台が欠場と相成ったマクラーレン・ホンダについては、まぁそういうこともあるかもしれないと思ってはいましたが、レッドブルについては走るくらいはできるだろうと。
 ちゃんとグリッドについたダニエル・リチャルドについては、パフォーマンスこそさして上がらなかったものの、少なくともトロ・ロッソの前でフィニッシュすることはできましたが(トロ・ロッソ勢の二台が共に期待外れに終わったことを差し引いても)、前年度の2番手を抑えていたチームとしてはかなり厳しい出だしと言わざるを得ません。




 逆に、マクラーレン・ホンダについては、ケビン・マグヌッセンこそエンジンブロー(PUブローというべきか)でスタート前リタイアになってしまったものの、ジェンソン・バトンについては随所で意外なパフォーマンスを見せながらの完走。中盤まではフォース・インディアのセルジオ・ペレスとバトルを展開し、ピットストップで逆転されるまで、コース上では抑え切っていたその事実は、開幕前の状態を考えれば奇跡に近い。
 しかも周囲が次々とリタイアを喫する中での話とはいえ、あと1台抜けばポイントゲットできていたなんて、事前予想からすると健闘も健闘、大健闘です。順位こそレッドブル・リチャルドのはるか後ろとはいえ、後半戦に向けての「期待度」を論ずるならば、圧倒的にマクラーレン・ホンダに軍配があがる。
 走り込みもセッティングもできておらず、そのためPUの出力さえ抑え気味で走っていた状態でこの結果ですから、嫌が応にもテンションは上がります。もちろん、それはあくまでも終盤戦に向けてということであって、中盤……たぶん夏休みまでは最下位近辺からの脱出を狙うというレースに終始するでしょう。
 でも夏休み後、日本GPの頃にはわかりませんよ。鈴鹿サーキット凱旋レースでは、我々ファンの前でポイント争いを繰り広げてくれるかも。日本のファンは期待して行く末を見守りましょう。長い目でね。

 予想外といえば、とにかく今回のレースではピットワークに泣かされたドライバーが多かったのが印象的でした。特に左リヤのピットクルーは、各チームみんな呪いにでもかかっていたような有様。デビュー戦で気勢をあげていたカルロス・サインツJr.なんて、いったい何十秒ストップさせられてるのと、見ているこっちが気の毒になってくる始末。
 さらにフェラーリのキミ・ライコネンに至っては、タイヤがはまらずにピットスタートさせてしまった結果、途中で外れてリタイアという結末に。スタート直後のカルロス・サインツJr.との接触といい、ライコネンにとっては不運の開幕戦となってしまいました。一旦後方に沈んでから、他ドライバーより1回多いピットストップにもかかわらずの脅威の追い上げは、さすがフライング・フィンの体現者というべき圧巻の走りでしたけどね。しかしとにかく運がない!
 まぁそんな状況があったもんだから、終盤でピットストップした人たちのストップ時間は、のきなみ4秒越え。みんな慎重になってるんだなぁーと、観戦して微笑ましい気分になったりも。ピットクルーも大変だ!

 そして注目の「予想外」がもう一つ。それがザウバーからのデビュー戦となったフェリペ・ナスルです。同僚マーカス・エリクソンが最下位近辺でまごまごしているのを尻目に、スタートで突如のジャンプアップ。リチャルド、サインツJr.、ライコネンらの前に躍り出てなんと5番手をキープしての展開に。6人抜きのロケットスタートですよ、これは素晴らしい。
 開幕前はとかく同じ新人であるトロ・ロッソのマックス・フェルスタッペンやカルロス・サインツJr.らの陰に隠れて「どうせペイドライバー」なんて思われていたナスルですが、まさかまさかの大健闘。競争力の激しく劣るはずのザウバーを駆って、そのままマッサに次ぎ、リチャルドの前を抑える5番手フィニッシュ。まさにダークホース。全く注目してなくてホントすいません。株価爆上げの新人です。
 もちろん昨年のケビン・マグヌッセンのように、開幕戦は良かったけどそのあとは……という可能性はまだありますけれど、これだけ活躍してくれれば、次戦マレーシアの期待が上がるのも無理からぬこと。ザウバーで表彰台は流石に難しいにせよ、中段を盛り上げてくれる逸材として、大いに注目したいところです。ギド・ヴァン・デル・ガルデの訴訟のあおりをくってシート喪失……なんて、ホントやめてくださいよザウバーさん。

 ともあれ、圧勝のメルセデスで幕を開けた今シーズン、しかし2番手以降の争いはかように激戦の一途。F1の見所はトップ争いだけではなく、中段から最下位争いまでいっぱいあります。トップ勢が独走しているときは、いっそそっちはきれいさっぱり忘れて中段争いを見てみましょう。そうすれば、普段とは違ったF1が見えてきますから。

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